橋本悠輔さんへのインタビュー

今回は平成12年、20歳の時に大阪から弥栄にIターンされた橋本さんにインタビューしました。

橋本さんは石央森林組合の前身の1つである弥栄村森林組合に「林業研修生」として入組。昨年野村さんの跡を継いで班長になられ、これからの活躍にますます期待がかかっている班長さんです。

大阪出身ということですが、大阪のどの辺りですか?

大阪市内ですね。道端に草もあんまり生えてなくて・・・淀川の河川敷まで行ったら少しは草が生えているようなところはあるけど・・・自然はほとんどない環境で育ちました。

林業を仕事として選んだ理由は?

高校を卒業後、環境検査について学べるような、化学系の専門学校に通っていました。でも「何となくこの仕事は違うな・・・」と思っていて、その方向には進むことはせず。

自然と触れ合える環境とは真反対の環境で育ったので、自然にかかわる仕事がしたいと前々から思っていました。そんな時に、たまたま弥栄村(現・浜田市弥栄町)が出していた「林業研修生の募集」の新聞広告が目に留まり。電話で内容を確認して、面接を受けるために、初めて弥栄にやってきました。

最初に島根に来た時どんな気持ちでしたか?

とにかく全部がびっくりだよね・・・

最初に広島まで新幹線で、そこからバスで浜田駅について。12月だったから浜田駅に着いたときには、すでに暗くて。そこから浜田から弥栄に向かう最終便のバスに乗って・・・乗客は自分1人(笑)山の中に行けば行くほど、灯りもなく、どんどん暗くなって・・・弥栄の村役場の前に着いたけど、真っ暗(笑)

役場の人が1人迎えに来てくれていて、車で弥栄の体験村に連れて行ってもらいました。

その日は体験村に宿泊して、次の日に面接。3人受けて、1人は入らなかったみたいだけど、もう一人は今も組合で頑張ってますよ。

実際に仕事を始めてからはどうでしたか?

やっぱり体力的には想像以上にきつくて。特に草刈機の振動がきつかったな・・・最初は慣れなくて手がしびれて大変でしたね。

昔は班長さんも厳しくて、バリバリ仕事をこなしていく感じだったけど、それに比べたら今は周囲も優しくなったと思う。

仕事でやりがいを感じるときはどんな時ですか?

やっぱり大きな木を伐りきった時は達成感があるかな。大きければ大きいほどいいって訳じゃないけど・・・大きければ大きいほどリスクも高いし。

でもそのリスクを乗り越えて、仕事をこなした時には「やりきった!!」っていう達成感はあるなあ・・・。改めて終わったあとに見てみると「ようやったな・・・」と思う。

組合の大きなチェンソーを使ったのは橋本さんと聞きましたが、あれ見たときはどうでしたか?

「でかっ」と思ったよね(笑)ちょっとその大きさは予想外・・・と思ったけど。

でも、その大きな木がある現場大径木伐るときは、あのチェンソーでも幅が足りなくて、更に端から伐らないといけなくて・・・あの木は確かにすごかったなあ。あれが今まで伐った中では最大。

空き缶と比べるとチェンソーの大きさがわかります・・・

当組合の従業員はIターンやUターンが割と多いのですが、どう思いますか?

やっぱり県外や海外から来るのって、それなりに覚悟してから来るから、むしろそういう人を受け入れていけたらいいなと思うし、自分としても応援したい気持ちがある。

自分が新聞記事を見つけて弥栄にやってきたように、県外の人で自然に興味があって「林業をやってみたい」と思う人もきっといると思う。

もちろん現場に入ると、理想とのギャップがあって「無理」と思う人もいるだろうけれど、自分のように残ってくれるような人もきっといるんじゃないかな。

家族との時間が持ちやすい仕事だと思うのですが、その点はどうですか?

家族との時間はがっつり持てますよ。うちの奥さんは帰りが遅い仕事なので、自分が夕飯を作ることも多いし、子どもともたくさん一緒に過ごせています。

学校行事も運動会とかはもちろんだけど、授業参観も奥さんと交代で参加してますね。

班長さんになられてもうすぐ1年経とうとしています。大変だったことなどはありますか?

色々な個性を持ちよって仕事をしていく上では、同じ目的の仕事に向かっていけるように、班長として色々なところに気を配ったり、努力しないといけないなとやっぱり思う。特に周囲はみんな年上だし。

そういう周囲への気配りを野村さんはきちんとこなせていて・・・特に人当たりの良さとか、面倒見の良さとか・・・野村さんってすごい色々気が付くじゃないですか。改めて、全部敵わんなあ・・・と思う。

林業の魅力は何だと思いますか?

「これしかできん」ってのもあるけど・・・でも大きい木を伐ってきれいになったり。色々なことに挑戦して、それを一つずつクリアしていくのがやりがいかな・・・

班で一緒に動いて、仕事をやるときはやる、休むときは休む。オンとオフの切替をしっかりしながら、みんなでガヤガヤしゃべりながら移動したり、一体感を持って楽しく過ごせるときは、この仕事やっててよかったなと思う。 早く帰れるときは帰って、プライベートの時間を持つことも大切だなと思います。

最初の「自然と触れ合う仕事に就きたい」という目標は達成できましたか?

できたかな・・・(笑)大変だけど。


野村さんも橋本さんも「これしかできん!」と仰っていましたが、自信を持って「できるもの」があることが素晴らしいことだと思いました。

その自信は、日々変化していく自然を相手に、常に判断を迫られる「林業」という仕事の中で、色々なことに挑戦して、乗り越えてきた経験からもたらされたものだと思います。今後のさらなる活躍を期待しています。