◎コンテナ苗とは・・・
コンテナ苗は近年導入された比較的新しい造林用山行苗生産の技術です。植栽時期の範囲が広く活着率が高いこと、植栽工程の効率化も見込まれることから、造林コストの縮減に大きく貢献するものと期待されています。
石央森林組合では、平成27年より平成29年まで3か年間、農林中央金庫の支援事業(みらい基金)事業に採択をいただき、隣接する社会復帰促進センター、シルバー人材活用センターの協力、島根県、浜田市など行政支援により、コンテナ苗の試験研究を中心とした地域資源の有効活用に向けた具体的な取り組みを行いました。
◎コンテナ苗の特徴
コンテナ苗は樹脂製の多孔容器(マルチキャビティーコンテナ)で育成される苗木で、培土と根で成型された「根鉢付き苗」です。この鉢になっている1つ1つを「キャビティ」と呼び、この「キャビティ」を連結させたものを「コンテナ」と呼びます。
コンテナ苗のいいところ
・活着率が普通苗(裸根苗)より高い。
・植栽刃専用の用具を用いることで効率的で、植栽時間が普通苗の半分程度
・根鉢付き苗のため通年にわたり植栽ができる。植栽時期を選ばないので伐採後すぐ植栽ができ一貫した作業により造林コストの削減が可能になる。
コンテナ苗の問題点
・現在のところコンテナ苗の価格は普通苗(裸根苗)より高いため、一貫作業による植栽費用の削減や、コンテナ苗の生産コストを下げる技術開発など求められています。
・取り組みが始まって10年ほどの技術のため、さらなる試験・研究が必要です。
◎コンテナ苗の規格
スギ、ヒノキ、苗齢1~2年、長さ30㎝以上、根本径3.5㎜以上 ※平成26年現在
根系がしっかりしている必要があります。根の発達が不良だと培土が脱着しやすく、植栽後の成長も見込めません。
◎培 土
培土には、ココナツハスク(ココピート)、ピートモス、バーク堆肥、鹿沼土などが用いられます。
培土に水、肥料を混合しキャビティーにしっかり詰め込みます。
◎播種
ここでは、「直接播種方式」についてご紹介しています。
この播種方式では発芽率に応じて蒔く種の数を定め、キャビティーひとつひとつに種をまいていきます。
播種時期は、2月下旬~3月上旬です。
播種後4月中旬まではハウスを密閉し温度を上げ、発芽と初期成長を促進させます。
霜が発生しなくなる5月上旬から屋外に出し管理します。
発芽後、本葉が出始めた頃から適時間引きを行います。
石央森林組合では、2019年からは育苗箱で発芽させた芽生えを
キャビティーに移植する方式を採用しています。
◎日常の管理
散水作業や病害虫の発生に気を配ります。
◎苗木の出荷
コンテナ苗の抜き取りには専用の機械を使用します。
人力でも抜けますが、なかなか抜けない場合強く引っ張ると苗木を傷める場合もあります。
苗木が出荷の基準に達しているか計測します。
出荷には段ボール箱に梱包し出荷をします。
(参考:「スギ・ヒノキのコンテナ苗生産の手引き」島根県中山間地域研究センター監修)